文科省が隠したがる本当の放射線量
- 2011/05/26
- 12:24
今度は文部科学省。
私たち人間は、地上2m以下でしか普段は生活しません。幼児は1m以下です。
文科省は、鳥の被曝量でも測っているのでしょうか?
現代ビジネスより抜粋して転載 2011年05月24日(火)
公表されていた東京・新宿の放射線量データは、地上18mの高さで計測されたものだった。地面から離れれば離れるほど、数値は低く出る。実際に人間が行動している、地表1m地点の数値は---。
2倍から5倍の数値が
東京・永田町の首相官邸のすぐ近くに、「溜池交差点」がある。この東京のど真ん中で、購入したばかりのガイガーカウンターを用い、放射線量を計測した人物がいる。国土交通省政務官の小泉俊明代議士だ。
真新しいガイガーカウンターが示した数値は、「0・128μSv/h(マイクロシーベルト毎時)」。この結果を見て、小泉氏は目を疑った。
「5月2日、試しに溜池交差点付近で測ったのですが、この『0・128』という数値を年間の被曝量に換算すると、1・12mSv(ミリシーベルト)となります。これは、国際放射線防護委員会の定める一般公衆の年間被曝許容限度(1mSv)を超えるものです。
ちなみに、首都高速の『霞が関』入り口付近でも測ったのですが、やはり0・11と高かった。福島第一原発から220km以上離れた東京で、これほど高い数値が出るとは予想していませんでした」
後日、驚きの事実が判明する。溜池交差点で計測した「0・128」という数値が、実は文部科学省の公表している「都道府県別環境放射能水準調査結果」(以下、「調査結果」)の東京都の数値の、2倍近くも高かったのだ。
5月2日の「調査結果」をチェックしてみると、東京(新宿区)の数値は0・067~0・068。小泉氏の計測結果と比較すると、2分の1程度にしか過ぎない。
乳児や幼児は大人と比べて放射能の感度が高く、がんの発症率も高まる危険性が指摘されているが、「毎日この程度で推移しているなら、今日も大丈夫だろう」と安心して子どもや孫と公園などへ出かける人もいるのではないか。しかし、2倍近くも高い「本当」の放射線量を知ったら、マスクをしたり雨の日にはレインコートを着用したりと、外部被曝や体内被曝を防ごうと心がける親は多くなるだろう。中には、「無用な外出は控えよう」と考える人がいても、決して不思議ではない。
それにしても、同じ東京都内で測った数値なのに、なぜ文科省の「調査結果」と小泉氏によるデータとでは、こうも大きな差が生じるのか。
両者の測り方には、大きな違いがある。文科省の「調査結果」は、地表から数mから十数mのところで測ったものなのだ
たとえば、東京都の場合、新宿区百人町にある「東京都健康安全研究センター」の屋上に設置されたモニタリングポストによって計測している。地表からの距離はおよそ18m。千葉県は市原市岩崎西にある「千葉県環境研究センター」の地上7mの地点にモニタリングポストを設置している。
「測定基準について、文科省から全国一律の指示が出ていないので、各自治体でバラバラの基準で観測しているのが実態です」(千葉県環境生活部大気保全課)
一方、小泉氏は地表から100cmのところで測っている。
「多くの方たちが普段、おもに生活しているのは、地上18mよりも低いところです。ですから、そんな高いところで計測するのはどうかと思い、100cmと決めて測ったのです」(小泉氏)
同氏はその後、同じ方法で、茨城県南部の9市町村の放射線量を測ってみた。
結果は、取手市=0・484、守谷市=0・503、龍ケ崎市=0・326、牛久市=0・315だった。文科省の「調査結果」によれば、地上3・45mのところで測られている茨城県(水戸市)の放射線量(5月2日)は0・104~0・110だから、同じ茨城県内でも文科省の「調査結果」の3~5倍の高い数値が出たということになる。
(せれな補足↓
上に出てくる数値はマイクロシーベルト/毎時です。
この数字に8760をかけると年間被曝量になります。国際放射線防護委員会の定める一般公衆の年間被曝許容限度は、1mSv(1000マイクロシーベルト)です。)
そもそも、福島原発から放出された放射性物質は、最初のうちは空気中を浮遊している。いったんビルの屋上に落下しても、その後、風などの影響でさらに地面に落ちる。そうして地面には放射性物質がどんどん蓄積されるから、地表に近いところの数値のほうが高くなるのは、当然の結果ともいえる。
だからこそ、人間の身体への影響という観点を考慮するなら、地上18mの放射線量を計測するのではなく、「もっと低いところで測るべき」と指摘するのは、群馬県立県民健康科学大学診療放射線学部准教授の倉石政彦氏だ。
「いったい誰が、地上18mの屋外で生活しているのか。鳥ぐらいのもので、鳥の被曝量を調査しても仕方がないでしょう。
倉石氏が勤務する大学はそのビルの隣にあり、大学のグラウンドの地上1mで同時に測ると、
「ひどいときにはグラウンドのほうが3倍も高い数値が出る」(倉石氏)
という。
実は、文科省のホームページを確認すると、「調査結果」以外に、「全国大学等の協力による空間放射線量測定結果」というデータも掲載されている。どのような方法で測定されたのか詳しい説明や、データの意味は書かれておらず、「非常に分かりにくい」(前出の小泉氏)ナゾのシロモノだ。そこで文科省原子力災害対策支援本部広報官に尋ねると、「地上1~1・5mの地表に近い場所で観測した結果です」と説明した。
つまり、文科省は「調査結果」よりも高い放射線量を示すデータを把握しておきながら、どういうわけか声を大にして国民に対して注意を喚起していないのである。
実際、放射線量の1週間の推移がひと目でわかるグラフは、低い放射線量がまとめられた「調査結果」を基に作成されている。新聞やテレビも連日、「調査結果」の数値を報じている。「調査結果」こそ文科省の「公式発表」であるかのような印象を受けてしまうのが実態だ。
これに対し、放射線の研究者らが独自に野外の地表1mのところで計測した、「本当」の放射線量を確認できるホームページがある。放射線計測学を専門とする近畿大学原子力研究所講師の若林源一郎氏が中心となって開設した、「放射線・原子力教育関係者有志による全国環境放射線モニタリング」がそれだ。
上のマップをご覧いただきたい。5月10日、文科省の「調査結果」で東京(新宿区)の放射線量は0・068だった。ところが、若林氏の集計によれば、同じ都内でも、浄水場のある葛飾区金町では0・359と「調査結果」の5倍以上の数値が計測されている。文京区本郷も0・140とやはり2倍の高い結果となっている。
福島原発からの距離もあまり過信しないほうがいい。放射性物質は、必ずしも同心円状に拡散するわけではない。「風向きなどの気象条件や、平地・山間地といった地形によって、高いレベルで汚染される『ホットスポット』が生まれる」(長崎大学先導生命科学研究支援センター教授の松田尚樹氏)からだ。
たとえば、茨城県ひたちなか市より、福島原発からの距離が約70km遠い守谷市や、千葉県我孫子市、柏市や流山市のほうが、放射線量の数値は高い。若林氏が解説する。
「水素爆発で多量の放射性物質が空気中に飛散した後、たまたま風向きの影響を受けて葛飾区や柏市などの数値が高めになったのだと推測しています。しかし、風向きの影響だけなら、すでに風は通り過ぎて数値が下がっているはずなのですが、それが下がっていない点を考えますと、おそらく降雨の影響があって土壌に染み込んでいるからでしょう」
前出の倉石氏によると、高い数値が出るエリアには、いくつかの特徴があるという。
「まずひとつは、緑の多い山間地などは高い数値が出る傾向があります。草に付着した放射性物質は、表面の細かな毛につかまって、風が吹いてもなかなか飛んでいかない。
また、学校のグラウンドでも、水をまいて整備するかしないかによって、数値に差が出ています。私の子どもが通っている高校へ測定に行ったところ、野球部とサッカー部のグラウンドでは、数値が違った。練習が終わるたびに水をまいて整備をしている野球部のグラウンドのほうが低かったのです」
「実は、東京でも管理区域のレベルに近い、放射能汚染が確認されている地域があるんです」
と指摘するのは、自民党代議士の村上誠一郎氏だ。
「GEの原子力事業部に所属し、プラントの設計などの業務に従事していた経歴のあるコンサルタントの調査によりますと、4月中旬の時点で、足立区内の東綾瀬公園にある雨で濡れた木製のベンチ上で測定をしたところ、1平方センチメートルあたり3Bqの汚染が確認されています」
現地で調査した、インターナショナル・アクセス・コーポレーションの上級原子力コンサルタントの佐藤暁氏が補足する。
「3Bqという数値は、その後、減っておらず、今後2~3年は同程度で推移すると思います。今回調査したのは足立区内の公園だけでしたが、場所によっては4Bqを超える公園があっても不思議ではありません」
40Bqを超えることもある福島市や郡山市ほどではないものの、同じ「管理区域」になりかねない汚染レベルなのである。
しかも、今後さらに放射線量が増える可能性が危惧されている。
これまでは大陸の高気圧の影響で陸から海に吹く風のほうが強く、放射性物質が内陸に飛んでくる量は少なかった。しかし、
「これが夏になって風向きが逆になると、東京都は今後さらに高濃度の放射性物質に汚染されることになる」(前出・村上氏)
というのだから、事態は深刻だ。これまで以上に多くの地域において、地表から近いところでの放射線量の測定と測定データの周知を徹底すべきではないか。
(せれな)
因みに、私は庭や玄関周り(階段など)を毎日水で洗っています。
庭の木や植物の葉を洗うようにしてホースでの水やりを毎日繰り返すことで、庭の除染をしているつもりです。特に雨が降った翌日は丁寧に洗っています。
そして何よりも大切なのは、外出するときはマスクやサングラスや帽子を忘れないということです。
忘れると、たちまち喉が痛くなったり、目がしみたりします。
小さな子どもたちが無防備な姿で外を歩いていたり、公園で遊ぶ姿を見ると切なくなります。
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