山下俊一教授、学会では10ミリでも危険と発表していた
- 2011/06/02
- 15:09
福島県のアドバイザーの山下俊一教授は、子どもに年間20シーベルトでも
100シーベルトでも安全と言っていましたが、学界では正反対のことを発表していました。
以下は、中部大学 武田邦彦教授のブログからの転載記事です。
赤文字の部分は、私が勝手に編集しました。
ある県のアドバイザーの先生は「1年100ミリまで大丈夫」、「放射線は健康に良い」と言われています.
機会があって、その先生の論文(お医者さんの学会での講演をまとめたもの)を読みました。(タイトルは次の通り)
講演は患者が放射線の被曝を受けるCTスキャンなどを使うときにどのように考えれば良いかということが中心でした。
そこでは、次のように書かれています.つまり、レントゲンとかCTスキャンなどで患者が被曝することが多く、特に日本ではあまりに気軽に診察で被曝させていると警告しています.
ヨーロッパではガンになる人の1%が医療によるもので、被曝量の多い日本ではそれが3%になるとしています.
そして、この「3%」について、
「1%と3%で差がないと思いがちだが、3%というと日本人で9000人だから、交通事故よりも多い」と警告しています.
つまり、医療用に低い線量の被曝をしてもかなりのガンが発生しているとアドバイザーの先生は言っておられます.
さらに、次の文章は、この先生のご講演などをお聞きになった福島の人は信じられないでしょう.
このところでは次の4つのことが書いてあります.
1)広島、長崎では低い被曝でもガンのリスクがある、2)年齢が低いとガンの危険性が高い、
3) 20才未満では、10ミリシーベルトで発がんが起こる、4) だから年間被曝量を考えてCTなどをとるのは危険。
・・・・・・・・・
先生に特別の意図があったのかも知れませんが、医者を相手にした学会では、10ミリシーベルトで危険と言っておられます.
これは、「一般人で1年1ミリシーベルト、健康を管理していれば1年5.2ミリシーベルトにできる」という「日本の法律」に沿ったもので、これまでに長く言われてきたことと同じです.
10ミリで発がんの危険性があるのですから、一般的な基準値としては、レントゲンを撮ったりする人もいるので、その10分の1、健康管理していれば2分の1という値は適当なのです.
なぜ、このように同じ一人の医師が、少なくとも見かけ上は違うことをお話しになっているのでしょうか?
おそらくは福島では
「政府が決めたのだから、ガンになっても仕方が無い。だから100ミリまで」ということで、
医師に対しては
「ガンの危険性があるから10ミリ以上は使わない方がよい」
と話されたのでしょう。考えさせられる論文でした。
(注1)
論文の出所(日本臨床内科医学会)
(注2)
私は個人を批判することはしないようにしていますが、この場合は子供の健康に関係があることと、政府の20ミリになんの根拠もないことを示すために具体的な論文を示しました。
(注3)
先日、このブログで秋田県の医師が心配しておられることを紹介していますが、日本の医師のほとんどの先生は慎重でよく考えておられます.
(平成23年6月1日 午前11時 執筆)
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