日本政治の安定を期待するオバマ米政権は菅直人首相の退陣表明にいら立ちを強めている。米側は「政権が長く続かなければ同盟深化も進まない」との不満を持っており、こうした危機感をもって民主党代表選の行方を注視していくとみられる。
米政府は当初、「日米基軸」「普天間飛行場移設の日米合意堅持」「環太平洋連携協定(TPP)参加検討」の3点セットを就任後早い段階で打ち出した菅首相を歓迎していた。
日米関係筋によると、オバマ大統領は首脳会談でこれらの方針を説明する首相の言葉を深くうなずきながら聞いていた。「宇宙人」とやゆされ、迷走を重ねた
大統領は5月下旬のフランスでの首脳会談で、9月前半の訪米を招請した。しかし、首相はそのわずか1週間後に「辞意」を表明。顔をつぶされた形になった米側には、「毎年の恒例行事になった政権交代劇」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)に怒りにも近い感情が今も残る。
結局、首相訪米は仕切り直しになり、先のバイデン副大統領訪日も目立った成果なし。副大統領は訪問先の仙台市で「米・アジア関係の柱は日本だ」と強調したが、日米関係には足踏み感が漂う。
ニューヨーク・タイムズ紙は最近、新首相候補の大半は経験が浅く、党内や世論の支持を得る力量を欠くと指摘。「短命首相がまた1人生まれる可能性が高まっている」と報じた。(2011/08/26-16:38)