「今年の4月以降、〝地震エコー〟という現象が増えています。これは、M9クラ
スの巨大地震が再び発生する確率が高くなったことを意味します。発生時期は今
年12月から来年1月にかけての可能性があります」
衝撃的な警告を発するのは、北海道大学地震火山研究観測センターの森谷武男
・研究支援推進員(元北大助教授)である。
森谷氏は、大気圏内VHF電磁波散乱体探査法による、地震予知研究者の一人。
地震の前に観測されるVHF波の乱れ(地震エコー)を解析し、地震の発生時期や
震源を予測するというが、この地震エコーに、不穏な兆候が出ているという。
「3・11の大震災の約8ヵ月前から、89.9MHzのチャンネルに地震エコーが観測
されていました。同じ周波数の電波を発する放送局は全国にありますが、観測点
は、通常この電波は受信できない場所なのです。そこで8ヵ月間、異常電波が観
測され続け、弱まり始めた矢先に東日本大震災が起きました。現在、同じ現象が
再び始まってから7ヵ月になります。同じような経過を辿るとすれば、12月以降
に大地震が起きる怖れがあるということです」
となると、いったいどこで起きるかだが、森谷氏はこう語る。
「東北南部の太平洋沖になる可能性が高いと思われます。震央は、東北南部沖か
ら関東沖の日本海溝南部付近。北は福島沖、南は房総半島沖というエリアになる
のではないでしょうか」
奇しくも、つくば市にある防災科学技術研究所も最近、「房総沖で地下(海底)
のプレートがゆっくりと滑る〝スロースリップ〟が起きている」との観測結果を発
表した。同研究所は、この現象について「東日本大震災の影響がある」としながら
、スロースリップが「関東地方での地震発生を早めている可能性もある」と警鐘を
鳴らしている。
スマトラ島沖の巨大地震と大津波('04年12月)の3ヵ月後に起きた同規模の地
震も、最初の地震の震源域の隣で起きた。房総沖には十分な警戒が必要だ。
『週刊現代』2011年11月19日号より(現代ビジネスより転載)