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たね薪きジャーナル、番組終了


存続を求める多くの声も届かず、MBS放送のラジオ番組「たね薪きジャーナル」が9月いっぱで終了することが9月19日に発表されました。福島の原発事故以来、ずっとこの番組に出演し続け解説をしてくださっていた、京都大学原子力実験所助教の小出裕章先生の声明文が公表されていますので、転載いたします。




「たね蒔きジャーナル」では、昨年3月14日以降、大変お世話になりました。

 国、電力会社などが一体となった原子力の大本営発表のもと、少しでも事実に近い情報を流し続けてくださり、ありがたく思いました。

 そして、私がありがたく思うだけでなく、「坂田記念ジャーナリズム賞」を受賞したことで、業界内部でも評価されました。

さらに、毎日放送が聞けるエリアだけでなく、世界の多数の視聴者から、これだけ愛された番組もなかったはずと思います。

それを潰すのであれば、しっかりした説明をしてくれるよう毎日放送にお願いしてきましたが、残念ながら私が納得できる説明は得られませんでした。

ジャーナリズム、報道の本来の仕事を守ってきた「たね蒔きジャーナル」が潰されたことを心から残念に思います。

2012年9月19日 小出 裕章



この日の「たね薪きジャーナル」の番組の音声と文字起こしを掲載します。



文字起こし(ざまあみやがれより転載)の文章の中から、特に重要と思われる部分を抜粋しました。小出氏の話を聴けば、なぜ、2030年代原発稼働ゼロの方針が閣議決定されなかったのかよくわかります。
赤字の部分だけでも読んでいただき、よく理解してください。



水野「小出さん、プルトニウムに、ついてです」
小出「はい」
水野「日本政府が2030年代に原発稼働ゼロを目指す方針を、まあ、結局閣議決定はしなかったそうですが」
小出「はい(苦笑)」
水野「まあその前にIAEA、国際原子力機関に伝えに行ったんですよね」
小出「はい」
水野「そうしたらIAEAの事務局長は、こういうことをおっしゃいました。『プルトニウムの扱いをしっかりと見ていきたい。』と言うんですね」
小出「はい」
水野「で、この、原発をゼロにして再処理をしない場合、プルトニウムが溜まっていく事を懸念している模様なんですが。このプルトニウムが、たまる、蓄積されるっていうのは、どんな心配があるっていうんでしょうか」
小出「え…原発、というものを動かしてしまう限り、その、原子炉の中にプルトニウムができてきてしまうことは避けられません。
水野「はい」
小出「ただしそれをそのままにしておくのであれば、プルトニウム問題というのはほとんどおきません。
水野「はい」
小出「問題は、」
水野「はい」
小出「え…その中から再処理という作業をしてプルトニウムを分離して取り出してしまうという、そのことによって生じます
水野「はい」
小出「え…プルトニウムというのは原爆材料…そのものですので
水野「原爆の材料そのものがプルトニウムなんですか」
小出「そうです」
水野「つまり核兵器の転用に、すぐつながるのがプルトニウムという物質だと思っていいんでしょうか
小出「そうです。え…ですから、原子力発電をやるだけであれば、え…ただただその、放射能の中の1つとしてプルトニウムがそこにあるというだけですので。」
水野「はあーーー」
小出「原爆材料にならないのですが。」
水野「はい」
小出「日本の場合には、核燃料サイクルを、や、つくりあげて

水野「はい」
小出「プルトニウムを取り出して。それを日本は原爆にはしないけれども、高速増殖炉の燃料に使うというようなことをずうっと言い続けてきた、のです。
水野「はい」
小出「え…ただ、高速増殖炉は全く出来ません。え…実験炉というか、私達が、ん…原型炉とよんでいるまあ実験炉に毛の生えたような、もんじゅでさえ」
水野「はい」
小出「すでに1兆円のお金を捨てましたけれども
水野「1兆円あれ捨てて、何にもできてないんですよね」
小出「はい。1キロワットアワーの電気も起こしていないという、ほんっとにどうしようもない…ものになってしまいました
水野「それでもこれ廃炉にしないっていう方針が
小出「はい」
水野「出てきましたよね
小出「はい。それは高速増殖炉というものを1度でも少しでも動かすことが出来ると、超優秀な原爆材料になるプルトニウムが手に入るからなのです。」
水野「はあ……」
小出「はい。ですから今でも、もんじゅは、廃炉にはしないし
水野「ええ」
小出「研究炉として残すというようなことになっているわけです…」
水野「残すって言ってますね。この意味がわからなかったんです」
小出「はい」
水野「研究炉として残す意味って」
小出「それは、超優秀、原爆材料が、欲しいからなのです
水野「……はあ……。近藤さん」
近藤「はい」
水野「このプルトニウムの問題というのは、まったくエネルギー問題とは違う分野にも、関連してくるってことですか
近藤「そうですねえ。ですからまあ、小出先生が、1,2,3,4とこう、原発推進の理由を、以前挙げてましたですけど」
小出「はい。」
近藤「そのなかに、いわゆる、核兵器へ向けてのこの…転用が可能だっていうこともあるんじゃないかという。うーん。まあここんところ…と直結する話ですよね。プルトニウムは」
小出「そうです」
水野「ふぅーん。これ、ただですね、あの、私の理解が間違っているのかもしれませんが。IAEAの天野事務局長が言っているのは。再処理を、していかないと、プルトニウムが、蓄積されて核兵器、核拡散につながるっていうことをおそれてるように、聞こえたんですよ」
小出「ん…多分それは水野さんの受け取り方が、違ってると思い、ます」
水野「あ…私が間違ってるんですね」
小出「はい。え…日本は、え……核燃料サイクルは進めるということを表明しています。核燃料サイクルというのは、再処理ということも含めてなわけで
水野「はい」
小出「え…原子力を仮にゼロにしたとしても、核燃料サイクルというものをやってしまうと、え…すでに動いていた原子力発電所の燃料からプルトニウムを取り出してしまうことに、なるのです
水野「はあー!」
小出「え…その始末の仕方が、もう全くわかっていませんので
水野「プルトニウムの始末の仕方は、わからないんですか」
小出「そうです。原爆になるか、高速増殖炉の燃料にするかどちらかだったわけですけれども。高速増殖炉がもう実用化出来ないということは、もうこの間の歴史でハッキリとしてしまっている、のです
水野「はい」
小出「そうであれば、再処理を断念するというのが、当然の選択のはずなのですが
水野「はぁ…はい」
小出「日本というこの国では、再処理を相変わらずやりたいと言い続けて、いるのです。」
水野「ええ」
小出「ですから世界中が日本を不信の目で見ている、わけですし。IAEAにしても、本当にそんなことをやるのかと言って、注意を喚起しているわけです
水野「はぁ…私政府の方針が、一応原発ゼロをうたいながら
小出「はい」
水野「再処理をすると言ってるところが矛盾、がある
小出「そうです」
水野「というのは、なんでこんなことになるんだろうと思っていたんですが」
小出「はい」
水野「そこには、この核兵器転用の疑いが持たれるという、そういう国際的な見方も絡まってるんですね」
小出「そうです。原発はもうやらないというなら、プルトニウムを取り出す意味も本当は、ない、のです。
水野「そうですね」
小出「はい。それなのに取り出すということは、核兵器を作るんだろうというふうに、どの国で、国だって思う、のが当然なわけです
水野「…はあー、そうした意味でも、あの、国際的な信用をこれ、失…まあまずまあ、今信用があるのかどうか私にはわかりませんが」
小出「(苦笑)」
水野「信用をより失ってしまうおそれがあると、」
小出「まあ」
水野「思わなきゃいけないんでしょうか」
小出「そうですね。原子炉を…原子力発電をやめると言いながら再処理をやるなんて言うのは、本当に論外なことだと、私は思います」
(転載終わり)

  
  
 
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